これからの課題解決に必要な「クリエイティブ力」

※2016年9月にMediumへ投稿した内容の再掲です。

先日開催されたアドテック東京2016にて、「 世界を変える! 日本のクリエイティブ力 」という公式セッションにスピーカーの一人として登壇させていただきました。その際に話そうと思っていることをまとめていたらそこそこの文量になったのと、当日はなかなか上手に話せなかったな―と思うところもあるので、せっかくだしこちらの記事にもしておこうと思います。

クリエイティブの再定義

セッションの重要なキーワードでもある「クリエイティブ」という言葉ですが、どうも必要以上に専門化させられすぎていて、課題解決が実現できないことの言い訳として使われちゃってるんじゃないか?という風に感じています。

・クリエイティブってこういうものだから…
・クリエイティブの人が言うことだから…
・それはクリエイティブの仕事だから… などなど

あらためて正しいクリエイティブ力を考えるために、身につけるために、「クリエイティブをつくること」をもっと本来の目的・機能をとらえたコトバに言い換えられないかと考え、「クリエイティブをつくること」を「リアルとラリーし続けること」として再定義してみました。

クリエイティブをつくることがいかに「リアルとラリーし続けること」なのかを、すぐに目に見えるリアルとなかなか目に見えない2つのリアルを例に説明します。

1つ目のリアルは「クリエイティブによってもたらされる成果というリアル」です。ぼくはこれまでダイレクト領域を中心に、キャンペーンプランニングとかソーシャルメディアマーケティングとかも含めて約11年弱ずっとデジタル領域のクリエイティブに携わってきましたが、デジタルの特長というか運命というのは常にリアルな結果と隣合わせということです。例えば、セプテーニではスマホのインフィード広告のクリエイティブに力を入れています。広告パフォーマンスを高めるために案件単位で数百以上のクリエイティブを制作することもザラにありますが、制作段階から見込みを立てていたクリエイティブのパフォーマンスが高くなるとは限りません。それでも一喜一憂するヒマなくパフォーマンスを維持・向上し続けないといけないので、仮説に対するリアルな結果をしっかりと受け止め、分析し、新たな仮説とともにラリーを返すことで、少しずつパフォーマンスが向上し、そのためのノウハウも蓄積していくことができています。

2つ目のリアルは「クリエイティブをつくるために発見しなくてはいけないリアル」です。ぼくは個人名義でもネーミングやキャッチコピーを30分3500円で考えるという活動を収益は全額寄付するというカタチで行っておりまして、この2年間で約200件以上のネーミングについて、女子高生のブログタイトルから大企業のサービス名まで色々な相談にのってきているのですが、お互いに良いネーミングにたどり着いたなーというセッション時には必ず共通の現象がおこっています。それは30分という短い時間の中でもクリエイターであるぼく自身がヘロヘロに疲れるだけでなく、依頼主本人もフラフラに疲れているという現象です(もちろん良い意味で)。30分という凝縮された時間だからというのもあると思いますが、いわゆる通常のクリエイティブ現場においては依頼主も制作者と同じくらい汗をかくという発想自体がなかなかないんじゃないかと思います。実際に、ネーミング案とフィードバックをスピーディーに打ち合うことを通じて、どんどん依頼主の思考がクリアになっていってビジョンが強くなっていくことを感じます。そうすると当然クリエイター側もよりクリティカルなアイデアをどんどん出せるようになっていきます。

広告パフォーマンスという嫌でも目に入るリアル、また依頼主の本当のビジョンやサービス価値という実は目に見えていないことも多いリアル、などいろんなリアルがありますが、それらと粘り強く向き合い打ち合い続けることでのみ、関係者全員がクリエイティブに期待する本当の「課題解決」に近づいていけるという意味で、「クリエイティブをつくること」を「リアルとラリーし続けること」として再定義しました。

クリエイティブのあるべき姿とは ?

クリエイティブをつくることを「リアルとラリーし続けること」と再定義したとき、それは決して「クリエイティブ」と名のつく肩書きの人だけの仕事ではないと感じられるのではないでしょうか。実際、すべての課題解決を目的とした活動のサイクル/フローにおいて、全員が「クリエイティブ」に対して何かの重要な役割を担っているはずです。それは課題解決を行う会社のなかの全ての人、という意味でもそうですし、課題解決を求めるクライアント/依頼主、という意味でもそうですし、最終的に課題が解決されるエンドユーザー、という意味でもそうかもしれません。一朝一夕にできることではないかもしれませんが、もっと多くの人がクリエイティブというものに対して、勇気と覚悟を持って、自分にできることから小さな一歩ずつでも行動を起こしていかないといけないのではないでしょうか。「クリエイティブをつくること=いろんなリアルとのラリー」にいろんな人が加わっていくことで、これまでになかった課題解決アイデアがどんどん生まれてくるはずです。

※そして、それは決してはじめから完全なものでなくても、いろんなリアルとのラリーを通じて、研ぎ澄まされていけばいいんだと思います。

クリエイティブをどう変える?

クリエイターを先生とか神様とか言う文化って、なんだかんだも今も残っていると思いますが、このコトバにこそ、クリエイティブで課題解決できないことの言い訳が詰まっているように感じます。繰り返しますが、課題解決するためのクリエイティブに何の役割も担っていない人はいないはずなので、あらためて「全員クリエイター」の意識でクリエイティブに向き合うことが大切だと思います。

いま自分がクリエイターじゃないという人には、自分がクリエイティブに対してどんな役割を担っているのか、何ができるのか/何をしたいのかを自問自答してもらって、小さな一歩からでも行動を起こしてほしいです。

一方で、いま自分がクリエイターだと思っている人にも、どうすればクリエイターじゃない人たち、(社内のスタッフ・クライアント・生活者 など)を制作プロセスに巻き込んでいけるのかを考えてほしいと思います。

日本人とクリエイティブ

つまりざっくりまとめると、辿り着きたいゴール(未来)のために、もっと総力戦でもっとなりふり構わず挑もう!ということです。そして、日本という国や日本人という生き物は「リアルとのラリー」にとても積極的で、目的に向けたなりふり構わなさは世界有数のクオリティであるはずです。(文化とか宗教とかゲームとか食べ物とかに目を向けると明らかにそうですよね?)

そんなクリエイティブな国で生きるぼくや皆さんも、もっともっとクリエイティブになっていけるはずなので、自信を持って日々チャレンジを続けていきたいですね!

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

1

加来 幸樹|SIGNCOSIGN

株式会社サインコサイン 代表取締役 CEO 自由な働き方に挑戦するチームメンバーと、様々な共創手法を用いたブランドアイデンティティ構築やインナーブランディング領域を中心に支援。30分でネーミングやコピーを共創する念能力を修得済み。オフィスはWeWork Shimbashi。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。